飲料業界ニュース | ||
ホットペットボトル 商戦もホット | ||
清涼飲料市場でホット用ペットボトルが新たな主戦場として浮上してきた。昨年秋冬に伊藤園が緑茶で販売を伸ばした実績を見て、今年は各社が本格的な商品強化に乗り出した。ホットペットは長年の課題だった「販売量の季節変動の平準化」を達成するメリットも期待できるだけに、各社は売り場の拡張競争にしのぎを削っている。 「清涼″飲料という呼び方はもう変えるべきだ」。伊藤園の本庄八郎社長はこう強調する。同社主力の茶飲料は夏場のコールド商品の売上比率が高かったが、ここに来て秋冬ホット商品の販売が急速に伸びてきた。 伊藤園は昨年からコンビニエンスストアなどの小売店向けに、加温機能が付いたショーケースの無料配布を開始。主力の緑茶「おーいお茶」などでホットペットボトル商品を本格発売した。 ライバル他社が売れ筋の茶飲料で新商品ラッシュをかける中、ひと味違う路線で市場開拓を図る狙いがあった。販売量は五百六十万ケース(一ケースは二百八十_gペットボトルニ十四本などで換算)と同社の全販売量の六%に達した。缶に比べて容器が熱くなり過ぎず、持ち運びにも便利な点が消費者に受け入れられた。 今年は茶飲料に加えコーヒーやスープなどの商品群も強化し、計二十種類を拡販。ショーケース台数も前年比六割増の四万台にする。本庄社長は「売り場の確保で他社に先行したメリットは大きい。今年は千万ケースを目指す」と意気込む。 市場拡大の兆しを察知し、他社も本腰を入れ始めた。キリンビバレッジは茶の濃い味を強調しホット専用に改良した「生茶」や「日本茶玄米」のほか、「午後の紅茶」でも三つの専用商品を販売。販売量を前年比2.7倍の八百万ケースに伸ばし、伊藤園を追撃する。 清涼飲料市場では近年売れ筋だった茶飲料の新商品ラッシュが一段落し、各社は新たなヒット商品づくりを模索している状況。キリンビバは「既存商品を総動員してホットペット市場を開拓する横展開≠ヘ、販売量の拡大に有効な手段」(佐藤章商品企画部部長代理)と期待をかける。 アサヒ飲料も伊藤園の手法に追随。ニ十三日のホットペット用コーヒーなどの発売を前に、ホット用商品ケースの無料配布を始めた。コンビニやスーパーに加え、従来商品で取引がなかったドラッグストアや百円ショップなどにも設置を進めている。ホットペットの市場拡大を契機に新たな販路を開拓する作戦だ。 清涼飲料市場では冬場に缶コーヒーを除く商品の販売水準が落ちる傾向がある。コンビニなど小売店側も冬場の販売底上げが期待できるホット商品の売り場拡大に動き出し、飲料メーカー各社に商品アイテムの拡充を要請している模様だ。 上位メーカーのコカ・コーラグループが「爽(そう)健美茶」や「まろ茶」などを、サントリーも「烏龍(ウ一口ン)茶」や「リブトン」など主力商品で相次ぎホットベットを発売。昨年約千五百万ケースだった市場規模は「今年は三千万−五千万ケースに膨らむ」(キリンビバ)との見方が多い。ホットペット強化策は各社のシェア争いに不可欠な要素となりつつある。 ただホットペットの好調は、既存のコールド商品やホットの缶商品から消費者を奪っている側面もある。現時点では各社は既存商品の応用で対応しているが、ホットペットの好調を市場全体の拡大につなげるには各社が新味性のある商品を開発し、消費者の購買意欲をさらに高める必要もありそうだ。 (西岡貴司) 2002/10/18 日経産業新聞より 伊藤園ホット用商品ケース写真省略 |
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2002/07/09 日刊食品通信 より |
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